時代に取り残された私

ケアマネジャーを紡ぐ会 千葉支部長
株式会社ひろびろ 代表取締役
支援センターふなばし 管理者
佐藤 寛子

千葉県船橋市でケアマネジャーをしています。産業ケアマネの普及活動してます!

仕事をする上で大切にしたいことは何か。業務効率化ってどこまで?

こちらのコラム。好きなことを書いていい、と言われています。
なので今回は、完全に個人的見解です。
一般論でもなければ、これが正しいとも思っていません。
私が「ケアマネジャー」という仕事をする上で思うこと。大切にしていることです。
「そんな考え方もあるのね~」くらいに思っていただければ幸いです。

ケアマネジャーになり15.6年になります。
特に秀でた才能があるわけでもなく、凄腕ケアマネでもありません。ですが、「こんな仕事、辞めてやる!!」なんて思いをすることもなく、ここまできました。
私がケアマネジャーの仕事をする上で大切にしていることのひとつ。
それは「相手の話をよく聞く」ということ。

ケアマネジャーという役割は、一見何をしているのかわかりづらいものです。
ケアマネジャー自身の考え方も様々で、プランを立てる仕事/給付管理をする仕事/24時間365日ご利用者さんとご家族に寄り添う仕事、それぞれの捉え方があると思います。

一方、ご利用者さんやご家族の捉え方もまちまちで、中には「この人毎月会いにくるけど、一体、何をする人なんだろう?」そう思っている方もいらっしゃいます。

私はケアマネなんて(ここでは敢えて、なんて、と言わせてもらいます)そのくらいの存在でいいと思っています。

肝心なのは、いざという時、何か困り事が発生した時に、いかに信頼していただけるか。
そこにかかっていると思っています。
「あの人に相談してみよう」「あの人の意見を聞いてみよう」「あの人がそう言うなら信じてみよう」
そうして共に考え、共に導いた答えに納得していただけること。たくさんの迷いや戸惑いがある中で「この選択肢でよかった」と思っていただけること。
そんな手助けができる存在でありたいと思っています。

私がご利用者さんやご家族との信頼関係を築く上で大切にしていること。それが、先ほどもお伝えした「相手の話をよく聞く」ということ。
とは言え、お相手の方は病気や加齢により、耳が聞こえづらかったり、目が見えづらかったりします。若い世代の方々と話をするようにスムーズにいかないことが多々あります。

そのような中で、さらに私が心がけていること。
それは「顔の表情や身振り手振り、全てを用いて、あなたの話を聞いているよ♡アピール」をすること。口元はどうなっているか、目は笑っているか真剣か、大きく頷いているか、がっかりしているか、喜んでいるか。
コミュニケーションの方法は様々です。それを、どう相手に伝えるか。マスクで口元が隠れる時代だからこそ「目は口程に物を言う」と思っています。

私たちケアマネジャーがご利用者さんやご家族にお会いするのは、基本的には月1回です。
その中でどれだけの関係性を築くことができるか。私からすれば、そこが勝負。

そう思っているのですが… …

時代は大きく変わろうとしています。介護業界にもICT化の波は押し寄せ、書類の管理も仕事の仕方も、この先どんどん変わっていきます。
これまで完全に時代に取り残されていた業界ですから、そうして業務効率化していくことは、望ましい姿だと思っています。
不得手な自分にとっては大変なストレスですが、業務効率化するためにはやるしかないし、ぜひそうしたい。

そう思っているのですが … …

どうしても1点だけ、躊躇してしまうこと。
それが「モニタリング中にタブレットを開き、その場で記録する」ということ。

実際にそれをすれば、モニタリング訪問も、モニタリング記録も1度に済んでしまい、業務効率は上がります。

ですが、そこだけは「果たして効率化していいものなのか?????」
自分の中に疑問が残ります。理由は簡単。
先ほどお伝えしたように、「あらゆる表現方法を使って、あなたの話を聞いてますよアピール」しているから。
カタカタその場で記録し始めたら、それができなくなってしまう。
きっと、上手いやり方があると思うのです。コツをつかめば相手に不快感を与えずに、その場で記録もできるようになると思うのです。

今はひとりで仕事をしていますが、いずれスタッフさんが増えて、その方がモニタリング中に記録を済ませていたとしても、何とも思いません。それを否定することもできません。
だって、時代はそうなっているから。

ですが、完全ド昭和育ち。中学3年生の学級目標は「話は目で聞く」
それが抜けきれない私は、きっとこの先も「モニタリング訪問中にタブレットを開いて記録を書く」ということを、実践できないままでいるのではないでしょうか?

ご利用者さんがよく口にする言葉。
「あの先生は人の顔も見ないで、いつもパソコンの画面ばかり見ている。」
実際にはそうではなくても、相手の目にはそう映っているのです。

お医者さまはそれでもいいのでしょう。医師の指示は、患者さんにとって大きな影響を与えます。介護従事者にとっては絶対です。だって「医師の指示により」って言えば、大抵のことは丸く収まると思いませんか? 社会的地位が違います。

退職者ゼロの居宅介護支援事業所で、社員の皆さまが口にした言葉は「相談した時に、手を止めてこちらを向いて話を聞いてくれる。」
そこには、どんな意味があるのでしょうか?

「あの人はいつもパソコンの画面ばかり見てる」

そう言われてもへっちゃらなケアマネジャーになれるよう、これからも日々精進します!