介護業界を「繭」から「糸」そして「布」へ

株式会社介護屋宮﨑 代表取締役
一般社団法人日本単独居宅介護支援事業所協会 代表理事
船橋市議会議員
宮﨑 直樹

ケアマネジャーを紡ぐ会をご存じだと思いますが、わたくしが会長の宮崎です。

昭和52年生まれですから、今年で46歳となります。自分が50歳になったら、紡ぐ会の会長は、誰かに引き継いでほしいと考えていて、その方に猛烈に今からアピールをしています。さて、今回のコラムですが、それは、紡ぐ会の一つの部会として、「政治と介護を紡ぐ会」の活動があります。これは、その名の通り、政治と介護を「紡ぐ」のです。

「紡ぐ」という意味

紡ぐとは、綿や繭から糸にすることらしいです。
紡ぐ会に込めた思いをお伝えさせていただければと思います。
この会を立ち上げた当初は、介護業界は「糸」になることが出来ずに「綿」の状態であると思っていました。
それ以外の医療・福祉系は、すでに糸になっていたり、まだ綿の状態であったりと、それぞれでしたが、中島みゆきさんの「糸」の歌詞の中で「縦の糸はあなた 横の糸はわたし 織りなす布は いつか誰かの 傷をかばうかもしれない」という表現があります。
介護業界が糸にならなければ、誰かの傷をかばう布が出来ない。まず「綿」から「糸」になるための一助になりたいと考えて「紡ぐ会」を立ち上げました。
少し話はそれてしまいましたが「紡ぐ」という名称にはそんな想いがあります。
そして「糸」になるためには、絶対に「政治」と向き合うという事が必要であると考えます。
なぜなら、介護保険は国が決める制度です。制度ビジネスなのです。その制度を決めるのは政治家ですから、目を背けるわけにはいかないのです。
しかしいきなり、政治に目を向けてほしいと力説しても、皆さんを置いてけぼりにしてしまうので、介護事業所の現状の確認や、これからのこの国の予測をしてみましょう。

2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、大介護時代の幕開けとなります。そんな中、介護事業所の処遇などはどうでしょうか。底辺の職業と言われる要因はなんでしょうか。賃金の低さ、長時間労働、責任の重さ、カスタマーハラスメント、などなど……。

これから、この国の大きな課題の一つである介護、その担い手である介護職が、今のままの処遇では「糸」になることが出来ないと考える方は決して少なくないと思います。

「誰かがいつかきっと、どうにかしてくれる事は無い」

と断言できます。

どうにかしてくれているなら、現在の状況は改善されているはずなのです。

処遇があがらないことで、離職率も高く、働く環境も良くならないことで、新人が入って来ない。この負の連鎖を断ち切るためには、自分たちが行動に出るしかないのです。

その行動が「綿」から「糸」そして「布」への道のりです。

100の不平不満よりも、1の行動。
皆さんも、ぜひ一緒に参画していきませんか。