介護事業所 のひケアセンター 所長
主任介護支援専門員
岐阜県介護福祉士会理事
岐阜県白川町議会議員
梅田みつよ
現役ケアマネジャー×岐阜県白川町議会議員×現役親介護世代
介護の未来を描くには
介護保険事業所によるニュースがあとをたちません。その背景に何があるのでしょうか。私は、こういった事件から、今回、それについて分析していきたいと思います。
私達の職務は、私達そのものを映し出す鏡
居宅介護支援事業所による実態のない介護報酬の請求による摘発。この頃あったこの事件。詳細はわかりませんが、同業者として考えられることは、組織の劣化・管理職の鈍化・実績という事業所内における評価のための黙認、そのようなことがあげられるのではないでしょうか。これは居宅介護支援事業所に限った話ではありません。ここで注目しなければならないのは、そのような心理状態で職務にあたる職員の心身の健康が守られていないということです。これは、私達が倫理上、法律上、そして、性善説の元で職務にあたることが大切ですが、いつの間にか、それをどこかに置いてきてしまったという悲しい事件たちなのだと思ってます。
24時間の落とし穴
親兄弟や子供でも、ペットでも。24時間、誰かのことを心配することは、100%はできません。私達の仕事は、誰かのことを心配しながら行う意味合いの濃い仕事です。かつてから福祉は慈悲の心で行うべきという日本の良き文化的行動の刷り込みが邪魔をしているところも否めませんが、私達の仕事は、専門職であり、ボランティアではありません。どんなに愛する人でも24時間拘束はできませんし、正しい生き方ではありません。そこで、24時間加算について考えていきたいと思います。24時間連絡さえとれれば加算が取れるのか?という点です。それについて、答えは、ん?と思うわけです。誰がその連絡を取っても良いと解釈するならば、アルバイトの宿直の人でもいいというわけです。私は、先程も述べたように、本来、24時間の連絡体制はその人のことを心配しているよ、ということに対する手当と考えているので、利用者様を知らない宿直の方でも、その加算の対象になるという解釈では通らないと考えます。しかし、現実はグレーゾーンです。みなさんの地域の地域包括支援センターはどうなっているでしょうか。確認したことはあるでしょうか。同じ介護報酬をいただくのに、そのような実態になってしまっていることに、大変残念に思います。これが、24時間体制の落とし穴であり、制度の誤った解釈の始まりであり、悪用に繋がる第一歩です。
時間の使い方とケアマネジメント
仕事の上では、利用者様に対して、高齢夫婦や介護者側に疾病がある場合、利用者本人より介護者の話や疾病に対応する時間を割かれることも多いです。介護保険制度の説明から始まり、細かいルールを説明し、同意を得なければなりません。頑固オヤジをデイサービスに行かせてくれと言われるような場面にも遭遇します。そこで、ケアマネとは、どういった経緯から生まれたのかということを簡単に説明すると、行政職員の延長線上の職務であるということに他なりません。ということは、私達の行っている仕事は、行政職員同等で、更にそれに専門性を持った立ち位置であると考えて良いのです。
リスクマネジメントとパワハラの関係
これはずばり、ケママネにゆとりがないとハラスメントに繋がるということです。知らないうちにハラスメントを行っていることがあるので、十分気をつけていかなければなりません。指導と称してケアマネジメントの不十分さの追求の仕方、苦情に対する誤解、状況を伝えなさいといったものも叱責に該当していきます。一方で、外向きに出ないケアマネは、自己に対してハラスメント行為を行っていることがあります。自分を必要以上に出来ない人間だ、必要のない人間だと責める行為や、自信を失ったり自己肯定感の低下に繋がることは、自己に対するハラスメントと考えられます。
ケアマネの高齢化とICT
現在のケアマネの平均年齢は、IT苦手世代とも言われています。なぜかケアマネジメントが有能な上司ほどアナログだったすることも。時代は電子決済なのに、未だに契約書に押印。やれないと諦めずに、やれるかもしれないとポジティブに進めていくのも、私達の仕事を効率的に行うひとつの手段です。とは言っても、私自身も同僚の中で一番最後に入社したことで、提案しても木っ端微塵に崩れ去った経験もあります。出来ることなら、みなさんと一緒にICT化について語り合いたいものです。
結びに
話を最初に戻しますが、事件の背景には、ケアマネ業務の効率化や向上、そして業務への正当な評価について怠った結果ではないかと考察します。私は、それは、ケアマネ自身も怠ったということだと考えます。ケアマネジャーには、主任ケアマネという上位資格が存在しますが、それは一体どういう存在なのか、ベテランケアマネのみなさんも同様に、考えなければなりません。私達の役割は、事件を起こすことではなく、事件の起きない事業所や環境つくりをして、その結果、利用者様や家族に、笑顔で人生を送っていただく伴走者になることではないでしょうか。
それでは、みなさん、またどこかで会いましょう。