株式会社ケアレジェ代表取締役、産業ケアマネ、
介護支援専門員、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士
高松 誠
ケアマネジャーと研修講師の兼業をしております。
『一生ケアマネジャーやります宣言』しています。
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介護報酬改定がもたらす変化に対するケアマネジャーの適応の必要性
【介護報酬改定の周期とその影響】
3年に1回行われる介護報酬改定。毎回、慌ただしさがありますね。
今回は診療報酬の改定が6月から開始されることに合わせて、介護報酬も同様かと思われましたが、医療系4サービスのみが6月からで、基本は4月から。しかし、新処遇改善加算は6月からという、現場も利用者も混乱するような改定時期となりました。
次回の介護報酬改定は全て6月からに統一してほしいと切に願います。
今回は特に居宅介護支援の改定が盛りだくさんでした。私たちケアマネジャーの考え方や動きが今までと変わらないのか、それとも大きく変わるのか、ポイントを絞って介護報酬改定のレビューを進めます。
【特定事業所加算とその影響】
まず、特定事業所加算と取扱件数についてです。今回、特定事業所加算の上げ幅は本体報酬を上回り、一律14単位の増加となりました。これは特定事業所加算を算定していて、かつ大規模であるほど事業所には有利で、小規模な1人ケアマネ事業所には不利な改定となります。
ケアマネジャー1人当たりの取扱件数も40未満から45未満へと改められました。大規模になればなるほど、例えば事業所の取り組みで件数にインセンティブを付け、より多くのケアマネジメントを行うことが可能です。育児など家庭の事情があるケアマネジャーは、件数を少なくすることも可能です。
ですが、小規模事業所では件数のメリハリをつけることが難しくなります。特定事業所加算を取らない場合、今後は居宅介護支援以外のケアマネジャーとしての収入も視野に入れていく必要があります。
特定事業所加算の要件に、「ヤングケアラー、障害者、生活困窮者、難病患者等、他制度に関する知識等の事例検討会や研修への参加」が追加されました。
厚生労働省のQ&Aによると、「ケアマネジャーが関係制度や関係機関に適切に繋げられるよう必要な知識等を修得することを促すもの」とされています。居宅介護支援のケアマネジャーは介護保険以外の支援実績をするのではなく、繋ぎ役です。業務範囲を常日頃から意識し、オーバーワークでバーンアウトしないよう留意することが必要です。
【介護予防支援の大幅な変更】
介護予防支援も今回の改定で大きく変わりました。居宅介護支援事業者が市町村から指定を受けることにより、直接介護予防支援を行うことが可能になります。
改定後の介護予防支援費は、地域包括支援センターが442単位、指定居宅介護支援が472単位で、30単位の差があります。指定を受ければ、地域包括支援センターとのやり取りが減少するため、効率が向上します。
地域包括支援センターから委託を受ける際には、提供拒否禁止の原則には当たりません。なぜなら本来の指定居宅介護支援業務に影響が出ないよう配慮する必要があるためです。だから要支援のケースをお断りしたり、担当している要支援のケースを地域包括支援センターに『お返し』することができます。
しかし、介護予防支援の指定を受けることにより、提供拒否禁止の原則から予防支援のプランが増えて、介護支援のプランが減る可能性もあります。
介護予防支援の指定申請を検討する場合、事業の継続性や地域包括支援センターとの関係をどのように保つかを慎重に考える必要があります。
【オンラインモニタリングの導入とその課題】
モニタリングの方法も大きく変更されました。テレビ電話装置(例えばZOOMやLINEビデオ通話など)を利用することにより、利用者の居宅訪問が2ヶ月に1回となります。オンラインでのモニタリングが増えることで、業務の効率化が図られ、1人のケアマネジャーが50件近くを担当することが決して無理ではなくなるでしょう。
ただし、解釈通知によると、認知機能が低下している利用者など、同意を得ることが困難な場合はオンラインモニタリングの対象外とされています。
また、介護サービス事業所は厚生労働省から通知された情報連携シートを活用し、情報収集を行うことになり、『単純にオンラインモニタリングをするだけ』とはいかないです。
一般的にオンライン対応ができるICTを使いこなせそうな高齢者はまだ少数派で、ハードルが高い条件であると考えられますが、このアプローチは事業所の長い継続に重要な分岐点となるでしょう。
今は少数派でも10年後にはオンラインで対応可能な利用者は確実に増え、オンラインがより簡単に使えるテクノロジー技術も進化していることが予想されます。その日に備えて今から1件でもオンラインモニタリングをすることを勧めます。
【未来へ向けてのケアマネジメント】
まだまだ介護報酬改定については語り尽くせないのですが、今回は居宅介護支援において変更される点が多くあった介護報酬改定でした。ケアマネジャーとして、加算やケアマネジメント方法の変更に適応する必要があります。
また、居宅介護支援のみならず、例えば介護離職問題を解決する産業ケアマネとしてもケアマネジャーの更なる活躍の場が期待されます。
そして、次の3年後の介護報酬改定に向けて、着実に準備し、思考し、実行し続けることが、我々ケアマネジャーにとって必要不可欠です。
日々少しずつの努力が、将来的にはより良い支援の実現に繋がります。こうした変更に適応し続けることは大変ですが、それによって提供するケアマネジメントの質が向上し、私たちの専門性が高まります。
私たちの日々の取り組みが、多くの利用者やその家族にとって価値ある支援となることを心から願っています。明日も、そしてこれからも、一人一人のケアマネジャーが元気に、そして意義を持って仕事に取り組むことができるよう、これまでの経験を活かし、新たな一歩を踏み出しましょう。