福祉・医療制度改革ズームイン(11) 介護と仕事の両立支援を巡る会社の悩みとは?

ニッセイ基礎研究所上席研究員三原岳

仕事と介護の両立について、2024年の通常国会では、育児・介護休業法が改正されました。改正法では、介護休業などの制度を従業員に周知する義務を会社に課しており、今後は会社での対応が求められます。
 しかし、介護と仕事の両立支援について、会社側のホンネを聞くと、「制度は整備したものの、何をやっていいのか分からない」といった声をチラホラ聞きます。今回は仕事と介護の両立支援について検討したいと思います。

今年の通常国会で成立した改正法の内容
まず、今回の法改正から確認します。図表1は今年の通常国会に際して、厚生労働省が公表した法改正の概要資料です。

図表1:今年の通常国会で改正された育児・介護休業法の内容出典:厚生労働省ウエブサイトから抜粋

これを見て頂くと、残業を免除される親の対象範囲が「3歳未満」から「小学校就学前の子ども」に拡大されるなど、育児と仕事の両立支援に関する記述が多いことに気付かれると思います。これは岸田文雄政権が重視していた「次元の異なる少子化対策」の一環で、子育て支援が強化された影響です。
一方、赤線で囲った部分が介護に関する...

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