日本の足元を支えるリーダーへ 〜ケアマネジャーという職業の可能性〜

介護支援専門員 
WEBデザイナー
介護コンサルタント
産業ケアマネ
さんかくしおハッカ(高畑俊介)

ケアマネの役割を再考したい。生き方としての「ケアマネジャー」を選択することで、この業界はもっと自由でワクワクする世界になる。

ケアマネジャーの資格を取得したころ、あちこちの研修会で聞いた時には「遠い先の話だ」と感じていた「2025年」がとうとうやってきました。

私たちは、国民の5人に1人が後期高齢者(75歳以上)になるという経験したことのない超高齢社会の入り口に立っています。

日本の医療・福祉をはじめ、経済全体にとっても大きな影響を及ぼすことが懸念されています。

労働力人口は不足し、国内のあらゆる市場が縮小していく可能性もあります。また、年金や医療保険、介護保険といった公的社会保障のシステムが、根底から見直されようとしています。

スマホのニュース記事をタップすれば「年金が…」「増税が…」「高齢化が…」の文字が踊ります。

もはや「少子高齢化」は日本のビッグトレンドであり、この流れを止める術はないでしょう。

これまでの日本を支えてきた社会構造が限界に達しています。そして、その最前線で戦っているのが、私たちケアマネジャーを含む介護従事者です。

その「自覚」なくして、私たちの未来はまずありません。

「超高齢社会に突入した日本において、ケアマネジャーは、要介護者やその家族、介護サービス提供者をつなぐ重要な役割を担っています」

冒頭の背景を踏まえたうえで、こんな風に機械的にこの仕事を表現されてしまうと、多くのケアマネジャーは徒労感に苛(さいな)まれるのではないでしょうか。

「そもそも、つなぐべきサービスがないんだ」

「なんでもかんでもケアマネが巻き取っている」

「書類、書類、書類です…これ以上何をしろっていうの?」

そんな声が聞こえてきそうです。

前回の記事でも少し触れましたが、私はケアマネジャーの仕事についてもっと深い議論を活性化するべきだと考えています。

ケアマネジャーは単なる「調整役」でもなければ「便利屋」でもありません。

地域社会と介護をつなぐコーディネーターであり、また介護が必要になったお年寄りの尊厳を守る「最後の砦」でもあります。

あらゆる知識を総動員して、誰もが安心して暮らせる社会をデザインする。

その大きな役割の一端を担うことのできる職種だとは思いませんか。

この仕事は教科書に載っているような知識だけでは務まりません。

深い人間理解や倫理的視点が求められる仕事であるからこそ、この人的リソースを社会に還元しない手はないはずです。

自治体の独自サービスはもちろんのこと、高齢社会における社会課題へ取り組もうとする民間企業も爆発的に増えました。

介護の現場を知らない大手民間企業に、自分の知見を提供できる絶好の機会が拡がっています。

「産業ケアマネ」の活動もこの時代を象徴する大きな動きです。

企業と従業員の間に立ち「介護離職防止」という大きな使命を背負いながら、仕事と介護の両立支援を行なっています。

私たちがすべき仕事は「書類の作成」でも「便利屋」でも、ましてや「給付管理」でもありません。

それは、要介護者やその家族の声を代弁し、社会に還元することです。

その上で、あらゆる方向性から「人生を支える伴走者」を目指すという尊い使命があるという意識が重要です。

ケアマネジャーが自覚するべき、大きな使命についての話をしました。

その上で、具体的に日頃からどのような意識を持って業務にあたるべきなのかについて、少し付け加えたいと思います。

ひとつは、変化を受け入れて柔軟に適応すること。

これは、ある意味で「自己成長」を止めないという意味にもなるかもしれません。

時代は変わり、テクノロジーは日進月歩の成長を見せています。私たちがそこで足踏みをしても、利用者のメリットにはなりません。

ICT機器やデジタル技術を効果的に使うことで、原始的な時代にはなかったような提案力を身につける必要があります。

もうひとつは、真逆の話に聞こえるかもしれませんが「人間中心のケア」を貫くということです。

私たちの仕事の本質は「人を支えること」に他なりません。どんなにテクノロジーを駆使しても、目の前の人の心を支えられるのは、やはり人間です。

支える側が、そのことを決して忘れてはいけません。そうでなければ、私たちは自分たちの手で、この仕事を手放す結果になってしまいます。

ふたつの観点は決して背を向けたものではなく、同時並行的に持つべき視点であると感じています。何より重要なのは、ケアマネジャーとしての「哲学」を持つこととも言えるかもしれません。

時代の変化を受け入れつつ、「何のために働くのか」「誰のために働くのか」という問いを持ち続けることが大切です。

2025年は確かに我々にとって試練の年です。

社会構造が大きく変わり、日本がこれまでに経験したことのない、あらゆる社会問題に立ち向かう節目の年です。

でも逆に言えば、大きな飛躍のチャンスをつかめる時代でもあります。

これは「危機」ではなく「新たな可能性」なのです。

これまでの制度や仕組みは見直され、この仕事の領域を拡大する、新しい挑戦をする人々が各地で現れることでしょう。

私たちは今、確かに最前線にいます。

でもいつか、このバトンを後世に渡す日がやってきます。

ケアマネジャーという職種が「日本の足元を支えるリーダー」として、誇りを持って働ける仕事であり続けられるよう、私も信念を持ちながら日々の仕事と向き合っていきたいと思います。

2025年の、その先は。

私たちのこの手で、作っていけるはずです。