どうなる!? 日本の介護

政治と介護を紡ぐ会 準会員
特定非営利活動法人ウェルネット虹家 理事長
野口忠真

介護職の待遇の向上と地位の確立を目指して活動しています!

2024年は皆様ご存じの通り、医療・介護・障害の3つの報酬が改定されました。改定内容の施行から半年以上が経過し、現場の慌ただしさもひと段落したことと思います。大介護時代の2025年にいよいよ突入する中で、介護報酬制度はどのように改定されたのでしょうか。

全体的にはトリプル改定ということもあり、医療・介護・障害の更なる連携を求められるような内容となっていますが、やはり特筆すべきは訪問介護の基本報酬がマイナス改定となったことではないでしょうか。前年まで未曾有の疫病問題として騒がれていたコロナ禍でも、ワクチンの優先順位を低くされる扱いを受けようとも、変わることなく在宅介護サービスを支えていた現場の訪問介護職員にとっては大変な仕打ちであったのではないでしょうか。処遇改善加算分も加味するとプラス改定であるとの説明はありましたが、他産業の賃上げスピードについていける内容になっているとは到底思えません。更に追い打ちをかけるように近年の急激な物価高もあり、現場の人手不足に拍車がかかったのは明白であり、現場の声が政治の場に届いていないということの証明となった改定なのではないでしょうか。

介護の現場が困窮している一方で、日本の介護は世界的に注目を集める技術力を誇っています。社会構造上、超高齢社会と言われている日本は高齢化率が世界一であるわけですが、高齢化社会が進んでいる国は日本だけではありません。高齢化社会への対応が必要とされている他国からは、日本の介護技術が必要とされているのです。今後急激に高齢化率の上昇が見込まれる中国やベトナムから、日本の介護技術の研修を求める声を私も実際に耳にし、中国には既に研修のために行ってきました。

中国の研修では介護現場の視察や実技研修を行いましたが、介護者も要介護者も心身ともに負担が大きい介護をしており、如何に日本の介護職の技術が高いのかを改めて実感することになりました。ベトナムは平均年齢が31歳とまだまだ若く、介護も家族ですることが当たり前の国であり、まだ「介護」という概念が浸透していません。しかし、今後アジアで最も早いスピードで高齢化率が上昇すると言われており、「リハビリ」サービスを提供している企業からは、日本の介護技術をいち早く導入しておきたいとの声を聞いております。このように、低賃金を強いられている日本の介護職ですが、実は世界的に見ると、世界一の技術力を誇り、世界から求められている技術職でもあるのです。

では、どうすれば政治に介護職の技術力を認めさせることができ、現場の声に耳を傾けてもらうことができ、待遇の向上を実現することができるのでしょうか。このコラムをお読みいただいている皆様には、もうお気づきいただいていると思いますが、自分たち自身が政治に携わる身になり、政治のど真ん中で声を上げるしかないのです。「介護職をなめるな!」と。

2024年10月には第50回衆議院議員選挙が行われました。私はこの選挙期間中、消費税減税を掲げる候補者の下で活動をしておりました。その候補者は残念ながら落選をしてしまったのですが、消費税減税というテーマはどうでしょうか。数年前は消費税減税や廃止を訴える政治家は色者扱いを受けていました。「財源はどうするのか」や、「日本は借金過多であるから増税が必要」といった主張がほとんどでありました。しかし、第50回衆議院議員選挙では消費税減税が国民から必要とされている結果になったのではないでしょうか。

私たち介護職も、一人一人が当事者意識を持ち、根気強く介護職の待遇の向上と地位の確立を訴えていくことで、政治や国の変化を自らの手で作っていくことができるのではないでしょうか。ケアマネジャーを紡ぐ会の政治部会である、政治と介護を紡ぐ会では全力で訴えを続けておりますが、まだまだその数は少ないのが現状です。私自身も議員バッジをつけるに至っておらず、もっともっと多くの仲間が必要です。

偉大なる先人の宮崎なおき名誉会長のスローガンである、「明日、急に介護の世界は変わらない 2025年までに、介護を変える力もない でも諦めたら厳しい状況は変わらない だから2040年までには、介護を変える」も前半部分は通り過ぎました。かつて大変な時代がやってくると言われていた2025年、気づけばもうその最中です。それに備えて整備された介護保険制度も早25年を迎えました。2040年問題に突入するまで、あとわずか15年しかありません。私は今後も「何としてでも介護を変える」という意気込みで活動を続けていきます。その中で、一人でも多くの仲間が増えることを願っております。