ニッセイ基礎研究所上席研究員三原岳
3年に1回の2024年度介護報酬改定が概ね決着しました。今回の改定では、物価が上昇する中、賃上げのための財源確保が争点となり、改定率はプラス1.59%となりました。これは医療機関向けの診療報酬本体の改定率(0.88%)を上回っており、厳しい財政事情の中、一定程度の財源が振り向けられた形です。
一方、訪問介護の基本報酬が下げられるなど、首を傾げるような出来事も起きました。この背景には、プラス改定に働く流れと、マイナス改定に向かうような議論が交錯したことがあります。具体的には、物価上昇や賃上げへの対応などでプラス改定が意識された一方、岸田文雄政権が重視する「次元の異なる少子化対策」で国民負担を増やさないことが盛んに強調されたため、歳出抑制圧力が強まりました。
つまり、「右向け左」と言わんばかりの政治サイドの指示が議論を混乱させた結果、分かりにくい決着になった面は否めません。現場のケアマネジャー(介護支援専門員)の皆さんにとっては、ダイレクトに仕事に絡む話は少ないかもしれませんが、今回は介護報酬改定の動向を俯瞰したいと思いま...
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