福祉・医療制度改革ズームイン(10)サービス付き高齢者向け住宅の「囲い込み」問題を考える

ニッセイ基礎研究所上席研究員三原岳

今年6月までに診療報酬や介護報酬が新しい体系に移行するまで、現場の皆さんはシステム更新などに追われたと思います。今回の改定では、サービス付き高齢者向け住宅などに高齢者を居住させて過剰なサービスを提供する「囲い込み」に関連し、ケアマネジャー(介護支援専門員)向けの報酬が見直されました。これまで「囲い込み」に対する給付抑制策は訪問診療や訪問介護に限定されていたので、その対象が居宅介護支援費まで及んだ形です。

しかし、こうした「囲い込み」は10年近く業界で問題になっているにもかかわらず、なかなか有効な手立てが見られません。今回は少し過去の経緯に振り返りつつ、なぜクリアカットな解決策が講じられないのか検討したいと思います。その上で、財務省が新たな制度改正を提案している点に着目し、その利害得失も問います。

2012年頃から顕在化

元々、この問題が顕在化し始めたのは高齢者向け賃貸住宅として、「サービス付き高齢者向け住宅」が2011年度に創設される辺りに遡ります。サービス付き高齢者向け住宅の場合、サービスと住まいの...

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